和尚さんにおしっこ

超スローペースなこのブログですが、
b0352427_11110877.jpg細々と続けております。

7月のおはなしは、昨年のクラスでやった日本の昔話、
「ねずみの国」にしました。
自分で節をつけた歌、結構気に入ってます(笑)。

8月は夏休みでおやすみ。

9月は、十五夜にまつわる絵本『月宮殿のおつかい』読み聞かせの後、
これも昨年やったグリム童話「おいしいおかゆ」。

以上、備忘録もかねて。


10月は、やはり同じ絵本の後に、
日本の昔話「和尚さんにおしっこ」をやりました。

『月宮殿~』は10分くらいかかる絵本なので、
素話の方は短くなければいけない(持ち時間15分)のですが、
文庫2ページくらいでも、話すと3、4分必要です。
意外に時間がかかります。

話の前振り(本の紹介など)もするので、2分くらいで終わる話を探して、
今回はとても短い笑い話にしました。

法事にでかける和尚さんのお供をしていた小僧さん。
急におしっこがしたくなります。
田んぼにしようとしても、山にしようとしても、川にしようとしても、
和尚さんに、そこには神様がいるからだめだ!と咎められる。
小僧さんは我慢ができなくなって、
「和尚さんの頭には"かみ"がない!」と言って、
和尚さんにおしっこをしました、
というお話。

単純に下ネタ…はたして笑ってくれるのか?!
b0352427_11114196.jpgと思いながらやりましたが、
男の子は吹き出す子もいましたので、とりあえずセーフ。

私も、ドリフターズの「8時だヨ!全員集合」世代でもありますし、
この話面白いと思うんですが、
話終えたあと、女の子のクールな声がぼそっと。
「…ふつうにきたない…」
たしかに、そうだねえ^^;

じゃあ、次はお姫様が出て来る話にしよう…
と思うのでありました。

絵本は『月宮殿のおつかい』(幻冬舎)
素話は『ちゃあちゃんのむかしばなし』(福音館)からです。


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# by yoinezumi | 2017-11-17 11:17 | おはなし

わらと炭とそらまめ

だいぶ遅れがちな投稿ですが…
b0352427_11042713.jpg6月のおはなしは、
グリム童話の「わらと炭とそらまめ」にしました。

ずいぶん前から何故かツボにはまり、好きなお話だったんです。
でもちょっと引っかかることがあって、
これまで素話に選ばずにいました。

まずはあらすじから。

おばあさんの家で、
そら豆が、お鍋へ入れられる寸前で、床に転がり落ちます。
そこにいたのは、かまどで燃やされそうになったのを逃げ出した、藁。
そこへ、火のおこった炭が、かまどの中から跳ね出してきます。

この3つが、
お互いに、命からがら逃げ出したことを打ち明けて、
みんなで仲良く旅に出ることにします。

ところがすぐに大きな川にぶちあたり、
藁が、自分が橋になるから、そら豆と炭はその上を渡ればいい、
と横たわります。

いや…それ、どうかな?
藁が橋になる??
と、読んでる方は思う訳ですが…

せっかちな炭が、すぐに駆け出して藁の上に乗りますが、
ざあざあ言う川の流れに怖くなって立ち止まってしまいます。

しかも炭の火はまだ消えてなかったらしく、
藁はあっというまに燃えてしまい、
炭も水に落ちてじゅっと音を立ててお陀仏に。

あ〜あ、言わんこっちゃない…と、これも、読み手の心の声です。

さて、
この顛末を見ていたそら豆が、なんとも乾いた反応を!

そら豆は、ばかばかしくなって大笑いするのです。
ところが、あんまりひどく笑いすぎて、
からだがぱちーん!と破裂してしまいます。

そこへ居合わせた仕立て屋さんが情け深い人で、
やぶけた箇所を縫い合わせてくれ、
そら豆は一命を取り留めますが、

仕立て屋さんが黒い糸を使ったので、
今でもそら豆には黒い縫い目があるのですよ、
というお話。


…アナーキーというか、ブラックジョークというか、
大人っぽい意地悪なセンスを感じます。
私は好きだけど、
子ども達にどんな風に話したらいいかな…と迷いがありました。

でも、何度も口に出して覚えているうちに、
これは結構役に立つ話では!?と、はたと気づきました。

藁や炭の取り扱い注意って話にもとれるんです。

最初、
「(おばあさんが)火がはやく燃えあがるように、藁をひとつかみ、くべました」
というくだりで、
わらは火がつくとあっというまに燃えることがわかる。

そして、炭はいちど火がおこると、
一見、灰になって燃え尽きたように見えても、
中にまだ火がついていることがあります。
だから藁が燃えて炭は水に落ちてしまう。
水に落ちれば、じゅっと音をたてて火は消えます。

このおはなしを聞くうちに、
藁と炭の性質、火の取り扱い方がわかるんじゃないかしら??

というわけで、自信を持って、おはなしをしたのでした。

原文がどうなっているのか知りませんが、
岩波文庫の翻訳(金田鬼一)は、3人の会話口調もとても面白くて、
それぞれの性格がよく現れているので、
語るのが楽しいです。

藁は気さくで気のいい奴、
炭はちょっと心配性?

そら豆は、
仲のいいお友達になりましょう、
なんてお上品に調子のいいことを言っておきながら、
最後には仲間の不幸を笑ったりして、
けっこうひどい奴だったりもします。

こんなところも、人生の苦みとしてお話の中に組み込まれているのかも、
なんて深読みもしたくなったりします。

底本は「完訳グリム童話 1」(岩波文庫)です。

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# by yoinezumi | 2017-10-13 18:55 | おはなし

魚売りと仙人

すっかり書き込みが遅くなってしまいましたが、
b0352427_12435946.jpg今年度は、昨年と同じ小学校で、
5年生のクラスでおはなしをすることになりました。

友人の紹介で、公立小学校で月に1回程度、
昔話を話に行っています。

第一回目は5月、中国の昔話「魚売りと仙人」にしました。

何の変哲もない魚売りの男が、
ある日不思議な夢を見たのをきっかけに、
物乞いの姿をした仙人から
不思議な真珠を手に入れることに成功します。

それからは、
塩漬けの魚を生きた魚に変えることができるようになり、
大儲けをするのですが、
不審に思った仲間に真珠を取られそうになって、
その真珠を思わず飲み込んでしまいます。

ところがそれによって、
男はさらにすごい術を身につけることができるようになるのです。

これも、魔法のでてくる話で、
私の好きなタイプです。
他の中国の昔話にも良く出て来る仙人たちは、
どうやら大概の場合、
物乞いのようなみすぼらしい姿をしています。

見た目と裏腹に、とてつもない力を持っている、
というのはとても面白いと思うのです。

人間はステレオタイプな見方では推し量れない、
と言われている気がします。

しかも仙人自身は、魔術によって優雅な暮らしをするわけでもなく、
本当に物乞いをしながら、または山奥で古い祠に住んだりしながら
暮らしているんですよね。

道教の修行とも関係がありそうですが、
ともかく、術で人助けはするけれど、
自分はそれで得をしているわけではないようなんです。

謎の人たちだけれども、
何か不思議な力を持っていて、
普通の庶民が時折、その恩恵を受ける。
ただ、「虎になった弟(人虎報仇)」でご紹介したように、
その結果が吉なのか凶なのかは、
どちらとも言えない場合もあります。

この白黒つかなさが、
また魅力であるかもしれません。

底本は、「中国民話集」(岩波文庫)です。

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# by yoinezumi | 2017-08-24 12:48 | おはなし

今月は、谷中のエスノース・ギャラリーでの素話イベントで、b0352427_18492644.jpg「人虎報仇」という、
『聊斎志異』(蒲松齢・作)という物語集からの一編を話しました。
(他はこれまでに語ったことのある、
「ねずみの国」「マーシャとくま」「ちえ者のグレーテル」)

これは作者のある小説で、昔話ではないのですが、
蒲松齢が中国の様々な伝承を取材していたらしく、
昔話のテイストが強く感じられ、
語って面白そうだと思ったので選びました。

といっても、元の文章は日本語訳も漢文調で、
熟語が多くきりっと締まったかっこいい文体です。

これは、文字を読むにはとても魅力的なのですが、
耳だけで聴いても筋がわかりにくいだろうということで、
まことに勝手ながら、
おはなし調に全文直しました。
(もとになった本は会場でお客様にご紹介しました。)

タイトルも「虎になった弟」としました。

物語は、
仲のよい兄弟の兄が、
あることで若旦那の怒りを買い、
殺されてしまう。
その仇討ちをしようとした弟が
道教の坊さんの術によって虎の体にされてしまい、
仇は取って人間の姿に戻ったものの、
その後は寝たきりになってしまうというお話です。

話し終えた後、
お客様が「弟は鬼になってしまったということですよね。」と言われました。
なるほど、私はそのまま文字通り受け取っていましたが、
弟の心を虎という形で表現したと考えるとまた面白いです。

昔話、伝承話(今回はそれをもとにした(?)小説ですが)は、
聞いた人によって様々な受け取り方ができる気がします。
そこが、とても開かれた感じがする。
今回は大人の方が多かったので、
終わった後に色々ご感想など聞くことが出来て、
貴重な体験でした。

また、どうやってお話を選ぶのか、という質問もありました。
「すごく好きな箇所があること、言いたくなる言葉があること」と答えましたが、
この「人虎報仇」の場合は、
緊張感のある展開と、
神仙の術が出て来ることでしょうか。

魔法の話は好きです。
不思議な話には魅力を感じます。

そういえば子どもの頃、
「自分は魔法使いだ」って友だちに言ってたな…。
半分は願望、半分は信じてるんですよね。
幼稚園児だったので友だちも半信半疑です。
(←友だちのお姉さんには嘘だと言われましたが、
そりゃもう、いたしかたない。)

おままごとのハタキの柄を、
魔法の杖にして遊んでいました。

子どもはからだ半分ファンタジーの世界で生きてる気がします。
…私だけじゃないですよね…?

底本は、『新編バベルの図書館6』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス編纂、国書刊行会)です。


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# by yoinezumi | 2017-04-25 19:20 | おはなし

マーシャとくま

小学校での今年度最後のおはなしは、b0352427_17192034.jpgロシア民話「マーシャとくま」にしました。
ひなまつりの日でしたので、
女の子が主人公の話を選んでみました。

おじいさんとおばあさんに育てられているマーシャという女の子が、
森で友だちとはぐれてしまい、
熊の小屋に入り込んで捕まってしまって、
やむをえず一緒に暮らすことになります。
熊に、もう逃がさんぞ、ここで暮らしてもらおう、
黙って外へ行ったら食べてやる、と脅されるのです。

これ…大人が読むと結構な大事件にも受け取れませんか…。
が、物語は淡々と、できごとを語るのみ。

昔話で私が好きな点のひとつは、これです。
できごとをシンプルに語り、
叙情や感傷、飾り立てなどは、ほぼ無しです。

何が起こったかに徹していて、
乾いた、というほどではないにしろ、
ベタつきのないさらっとした語り口。
そして「次どうなるの?」というドライブ感。
なんか、かっこいい…って思っちゃいます。

だけど、読んだ人聞いた人が自分の経験などに照らし合わせて、
自由に登場人物の思いや、できごとの背景などを想像して、
自分だけの世界を作り上げることもできる。
しかも特に正解はない。
何しろ、昔話は詠み人知らず、作り手知らずですからね。

扉の鍵だけを渡してくれて、
あとは自分で感じ取ればよい、
もしくは、
「わからなくてもいいから、持っておきなさい、
あとで役に立つ時がくるかもしれないよ」
というのが昔話なのかもしれない、なんて思います。

マーシャは、考えて考えて、
熊をある意味手玉にとって、家へ帰る作戦を思いつきます。
これまた、深読みするとすごい気がします。

とはいえ、お話の印象はかわいくてわかりやすく、
熊も最初は怖い気もするけど、
中盤からは愛嬌があります。

私がこの話を選んだ一番の理由はラスト。
おじいさんとおばあさんが最後に言うひとことです。
これこそが、自分の知恵で困難を乗り越えたマーシャに同化した
読み手、聞き手へのご褒美のように思えるんです。

底本は、「ロシアの昔話」(内田莉莎子編・訳、福音館文庫)です。
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# by yoinezumi | 2017-03-22 17:29 | おはなし