2016年 11月 18日
狩人ハイリーブ

村人たちを助けるために自らの命をひきかえにした若者の伝説で、
余韻の残るお話です。
悲しい話はあまり性分にあわないのですが、
この話には色々な要素が含まれ、魅力があるのです。
若者の悩む姿だけでなく、
動物たちとの不思議な体験、
目もくらむような金銀や宝石、
そして壮大な自然の猛威と、
短い中にも展開が次々変わり、盛りだくさんです。
話が進むとともに心の中にイメージが次々と作り出されて、
飽きずに聞いてくれそうだと思いました。
実際、とても静かに最後まで聞いてくれました。
この話をどう捕らえるかは、
人によって、また、年代によっても変わりそうで、
それもまた面白いところだと思います。
ところで、話しながら何故だかいつも涙が出そうになる場面があります。
村人たちに話を信じてもらえず泣いているハイリーブに年よりたちが近寄って、
「おまえはこれまで嘘をついたことがない。それはみんなが知っている。」
と慰め、よくよく話を聞こうとするのですね。
我ながら不思議なのですが、
毎回ここで、こみ上げてくるものを感じます。
底本は『けものたちのないしょ話〜中国民話選』(君島久子訳、岩波少年文庫)です。
by yoinezumi
| 2016-11-18 12:01
| おはなし