人気ブログランキング | 話題のタグを見る

あくびがでるほどおもしろい話

12月のおはなしは、
あくびがでるほどおもしろい話_b0352427_11524471.jpg絵本『月宮殿のおつかい』読み聞かせのあと、
松岡享子作『あくびがでるほどおもしろい話』をやりました。
これが、思いがけなくとても楽しい経験になりました。

このおはなしは、物語というより言葉遊びに近く、
私にとっては初のチャレンジでした。
あらすじがあるような、ないような話で、乱暴にざっくり言うと、
ある男が、山へ魚釣りにでかけ、鉄砲で魚をしとめて食べる。

ただ、どの文にもあべこべの言葉がついていて、
北へ行ったのか南へ行ったのか、
朝出かけたのか夜出かけたのか、
山へ行ったのか海へ行ったのか、
釣りをするのか狩りをするのか、
魚はしとめたのか、逃したのか、
言葉だけ見るとよくわからないような、
でも聞いていると何となくストーリーになっていて、
しかも可笑しいのです。

果たして面白がってくれるかなあ、と思いながら
教室に立ってタイトルを言ったとき、子どもたちが
「あくびがでるなら、おもしろくないんじゃないの~?」と突っ込んできて、
それを聞いた私は心の中で、「素晴らしいコメントだよ、君!」と親指を上げましたよ!
いい手応え!
そう、そこなんです、このおはなしのポイント。

「北へ北へと進んで行った、ある南の国」
「たいへんかしこい、ばかな男がすんでいた」
「はえていない木にのぼって」
「みたこともないような、あたりまえの魚が」
…というように、次々とあべこべの言葉が続くのです。

情景が浮かびそうで浮かばないような。
でも、がんばって思い浮かべると、
昔の喜劇アニメ(トムとジェリーとか、テックス・エイヴェリー作品とか)みたいで面白かったり。
文章を一見しただけでは掴めませんでしたが、
練習で口に出しているうちに、どんどん好きになりました。

子どもたちの受けも驚くほど良くて、ちょっと感動するくらいでした。
ツッコミが徐々に笑いに変わり、
最後はどっと笑いが起きて、はいおしまい、という、
「もしかして、芸人さんの醍醐味はこれか!?」という疑似体験をしたような感じでした。
いや~、ほんとにすごかったです、このお話の力。びっくりしました。
楽しかった!

底本は、「おはなしのろうそく5」(東京子ども図書館編)です。

by yoinezumi | 2018-01-09 12:00 | おはなし