2016年 07月 07日
おはなしボランティア(2回目)
先月になりますが、2回目のおはなしは、やはりグリム童話から、
「くもりのないおてんとうさまは かくれてるものを明るみへだす」
を選びました。
前回よりもずいぶん長い(7~8分)ので、
覚えるのに少し手間取りましたが、
私が底本にしているのが岩波文庫の金田鬼一さん訳で、
これが口にしてみると随分語りやすく、そして覚えやすいのです。
他の翻訳と比べたわけではないのですが、
何だか口にしたくなる言葉が使われています。
「素寒貧(すかんぴん)」とか、
「世帯(しょたい)をきりまわす」とか、
「修行の旅がらす」とか…
これらが所々で鍵になって、覚えるのを助けてくれるんです。
それに、母音の順序というのでしょうか。
口の開け方が、ちゃんと次の音へつなげて
動かしやすいようにできている気がします。
このおはなしは、罪を犯してしまった仕立て屋さんが、長い時を経て、
ついに罪が明るみに出て報いを受ける話です。
若干お説教くさい面もありますが、
おてんとうさまの不思議な力が、どのようにそれを明るみへ出すかが面白い点です。
実は、おてんとうさまではなく、人間の業というか本質的な心理が、
そうさせているのかもしれません。
最初から緊張感のあるおはなしで、
どうなってしまうのか、最後まで気がかりが続くサスペンス的な物語です。
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by yoinezumi
| 2016-07-07 17:01
| おはなし
2016年 05月 23日
おはなしをしてきました。
絵本画家ですし絵本が大好きではありますが、絵本の読み聞かせではなく、
昔話を覚えて語る(素話、というそうです)のを常々やってみたかったのです。
先日初めて子どもたちに話したのは、グリムの「おいしいおかゆ」です。
私の大好きなおはなしで、とてもユーモアがあり、
また、短いながらも心をつかまれる要素がいくつもあるお話です。
素話の威力(?)については、自分も幼少時に経験していますし、
その後も本で読んだり、見聞きはしていたのですが、
実際やってみると、やっぱりとても面白いです。
後半、おかゆがどんどん増えて町中にあふれるくだりで、
子どもたちがお話の世界に入った感じがしました。
そのあと、別の昔話を(まだ話を暗記してないので)本を読み聞かせたのですが、
本を読むのと素話では、語るスピードや「間」が変わって来るのを感じました。
「覚えて話す」方が、聞く側のリズムと合うのかもしれない、と、ちょっと思っています。
お話を絵で語りたい、と思って絵本を作っていますが、
素話の魅力もとても惹かれるものがあります。
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by yoinezumi
| 2016-05-23 17:57
| おはなし
2016年 02月 29日
「3びきのくま」
以前twitterにも書きましたが、まずは
「3びきのくま」トルストイ作 バスネツォフ絵 おがさわらとよき訳(福音館書店)
このお話でぐっと来るのは、まず、熊たちにしっかりした名前が付いているんですよ。
父さん熊はミハイル・イワノビッチ、母さん熊はナスターシャ・ペトローブナ、子熊はミシュートカ。
そして一見主人公かと思われる女の子には、名前がないんです!
女の子は留守中の熊の家に入るのですが、
熊はいなくても、ちゃんと名前のある熊たちのお宅だから、
やけに真実味というか、そういう熊のお宅があったと実に本当らしく思われるわけです。
最後、女の子は追いかけられて終わるのですが、
ここでも「3びきの くまは、おんなのこに おいつけませんでした」でおしまいです。
「女の子はあやうく逃れました」じゃなくて、熊の側から書かれている。
つまり、タイトル通り、主人公は「くま」なんじゃないかと。
そして、食堂と寝室のあるちゃんとした家で生活しているけど、
怖い声で吠えたり人間を追いかけたり、やっぱりケモノ。
この人間との距離感がたまらなく良いんです!
ロシアの絵本は、動物に親しみを持ちつつも、
しっかりケモノ感を宿していて、そこが大好きです。
バスネツォフの絵もそう。
絵も大好きですが、そもそも絵が好みでない絵本は手に取らないので、ここでは省略します。

その後、昔話の主人公に名前がなかったり個性がないのは、昔話の特徴であることを知りました。
それにしても、熊の名前にはとても存在感があって、いいですよね。
表紙の父さん熊も、すましているけど、どうかすると太い声で「ごうごう」と吠えそうで、いい顔しています。
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by yoinezumi
| 2016-02-29 19:52
| 絵本
2016年 02月 29日
ブログ始めました。
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by yoinezumi
| 2016-02-29 19:49